秋を感じる
8月に丸1週間九州に滞在したものの、全日程雨という最悪な経験をした。このまま夏の九州に見切りをつけるのはいささか腑に落ちないので、9月は弾丸九州ツアーを3回ほど決行した。
9月も半ばだというのに、あたり一面黄金色の稲がたわわに実っている。二期作を行なっている九州ならではのこの光景ではなかろうか。新潟ならば8月の下旬には稲刈りが始まっていて、9月になればほとんどの田んぼは収穫が終わる頃。それが九州だと10月近くまで秋を体感できるのだ。
そして9月に咲く秋の風物詩といえば曼珠沙華(彼岸花)。毒々しい赤が鮮やかな風景にさらに色を添えてくれる。
どこの田んぼを見ても、畦道に無数の彼岸花が咲いているのは何故なのだろう。新潟の世界しか知らないので不思議な感じがした。
それはそうとて、この稲穂と彼岸花がそんなにも近くに咲いているのであれば一緒に取り入れる以外の選択肢はなし。
良さげなスポットはないかと車を走らせると、小さな踏切を見つけた。
ギリギリまでベストな場所を探していただけに通過までは時間がない。
三脚だとアングルが高すぎるので、ライブビューを駆使して低いアングルから狙うことにした。
(415系 大分車両センター所属車両)
D850の秒間9コマ連写にも助けられ、思い描いていた通りの画が得られて満足のいく結果となった。
(415系 大分車両センター所属車両)
このあとすぐに列車の後追いを一枚。
一度に二度美味しい成果を得られて一同はしばらく興奮が冷めなかった。
(2019.09.19)
Artistic
新潟の115系の中でも、個人的に一際好んでいるのが二次新潟色、通称"キムワイプ" だ。
キムワイプというのは工業用ティッシュのひとつで、そのパッケージデザインと二次新潟色のカラーリングが酷似していることからこう呼ばれているのだという。
似たような理由で三次新潟色は"JKワイパー"と呼ばれている。
さて、新潟115系を撮る中で誰もが訪れたことがあるのが白山鉄橋であろう。
新潟駅からわずか1駅、さらに最寄駅から駅近ということもあり老若男女誰でも訪れやすい立地環境というのも幸いして、連日大賑わいな撮影地だ。
信濃川を直角に横断するこの橋梁は大河川である信濃川を横断するために工事が非常に難航した歴史がある。新潟交通電車線の終着駅が白山駅だったというのも、この橋梁の建設が難航したためだとか。じゃじゃ馬なこの信濃川の水を別ルートを介して流すために関屋分水や大河津分水路が建設されたなど、良くも悪くも新潟の地を説明するのに切っては切れない関係にあるわけだ。
新潟の人々の移動を支える重要な役割を果たしているこの白山鉄橋だが、そのまわりの堤防は綺麗に手入れされており西側の対岸・東側の対岸どちらも様々な作風の写真を撮ることができる。特に西側においては、春に桜やチューリップが美しく咲き誇ることで有名だ。
そんな西側サイドで撮影した写真を一枚。
(2019.05.19)
彩雲
新潟115系と雪景色を絡めようと計画していたものの暖冬の影響で柏崎はおろか、長岡市内および新潟市内も積雪は絶望的な状態だった。
かといってどこにも行かないというのは味気ないので、とりあえずレンタカーを借りて関越道を下る。その車中で熟考に熟考を重ね、只見線の小出サイドを攻めることに。
只見線といえば現在不通区間が生じており、只見西線・只見東線とまで呼ばれている。只見川第一橋梁など絶景スポットとして親しまれているのは東側の方で、今回目指しているのは比較的地味なイメージのある西線の方である。
本数も極端に少なく、一度チャンスを逃してしまうとリベンジが効かない、いわば一発勝負路線。ガス晴れだから次の列車でリベンジ……という具合にはいかない。
撮影地も特に決めないまま、とりあえず綺麗に雪が積もっているところがあればそこに行こうという甘い考えのまま小出インターを降り、沿線そのまま特攻した。
雪国の細い道というのは基本的に冬季は通行止めになる。当然新潟で115系を追っている身としてその程度のことは頭に入っていたのだが、只見線沿線ではその想像を遥かに絶していた。
どの抜け道を探して大回りをしても目の前には除雪車が積み上げた雪の壁。なかなか線路に近づけないのだ。そもそも何らかのルートで各々の民間にアクセスできれば生活上大きな問題はないわけで、撮り鉄が行きたがるような場所まで考慮されていないというのは至極当然の話である。
そんなこんなで悪戦苦闘した末、車を置いて少々歩いて探すことにした。とはいえ時計をみると入広瀬発車5分前。小さい冬季閉鎖中の踏切を見つけて小走りで近づくとさらに彩雲が浮かんでいることに気づいた。
必死で路地を抜けることばかり考えていて周りの風景を見れていなかったのだ。ドライバーとしてのセンスというよりも風景写真を撮る者としての視野の狭さに落胆しつつ、間も無く列車がやってくるという緊張感でカメラを持つ手が震えた。
キハ47系
見事に列車通過まで彩雲はとどまってくれた。
冬の只見線らしいカットはこれで履修。
羽越本線、磐越西線、さらには只見東線からヨンマルが消えてしまい、大好きな国鉄急行色も海外に譲渡されてしまう。
夏前まで残ると言われているこの只見西線で出来る限り青髭キハの勇姿を記録に収めたいものだ。
(2018.12.21)
日豊本線◆竜ヶ水俯瞰
鹿児島415系で一番有名な撮影地であろう、竜ヶ水俯瞰。公園の展望台から日豊本線の鹿児島側、都城側両方を見渡せる。
アクセスの手軽さや回収効率のよさ、加えて極め付けは一番重要な、風景の美しさが売りだろう。
訪れた日は空気の澄んだ快晴で、どのカットも納得のいくものだった。
今回は何枚かまとめてご紹介しようと思う。
鹿児島車両センター所属415系
まずは車両が際立つ拡大構図から。奥には姶良の市街地を望める。
この写真を見てお分かりいただけるとは思うが、相当空気が澄んでいる。
白い車体は4両という短い車両編成ながらも、朝日をギラギラとはね返し、適度に目立ってくれる。朝の風に刺激されてわずかに波立っている様も鮮明に映り込んでいて、ここでも高画素機の恩恵を受けた。
鹿児島車両センター所属415系
さらに太陽が高く登り始め、朝のマジックアワーが展開された頃、ふと都城側をみると霧島連峰の山々がくっきりと見えていた。
これは写し込むしかないと考え、次の列車は引き気味の構図で一枚。
スマホで閲覧すると小さすぎてわからない車体だが、iPadで表示したりA4以上のサイズに印刷したりすると、しっかりと写っていてくれたので一安心である。
大きな画面の端末をお持ちの方は是非画面を横にして鑑賞してみてもらいたい。
次は、鹿児島側の風景をご紹介する。
鹿児島車両センター所属415系
こちら側は、ウネウネと海岸沿いを進む様子がよく見える。さらに大俯瞰ゆえ、相対速度もそう速くはないので比較的簡単に撮影することができそうだ。
同じ列車を、縦アングルで一枚。
縦でも横でも収まりがいいのがこの撮影地の取り柄ではないだろうか。
・・・・・・・・・・・・・・
いかがだっただろうか。大分車両センター所属の415系は、杵築の菜の花以来かなり人気が出ているようだが、鹿児島も忘れてはならない。
新潟115とは段違いな運用距離。長崎本線の運用も復活した今、九州本島のすべての県で運用されていることになる。(白415の話)
貫通扉周りが白か銀かなど細かな違いはあるが、それもコレクションのうち。
食べ物も美味しく、素敵な景色がたくさんある鹿児島にぜひとも足を運んでみて欲しいものである。
(2019.10)
サクラサク
今年は暖冬の影響で、全国的に桜の開花が早かった。去年も例年より暖かかった影響から開花時期が早まったりと、地球温暖化を象徴するような異常気象が続いている。
長期予報によれば、暖冬の影響で今年は台風が強烈なのだとか。大災害を引き起こさないことを願うばかりである。
新型コロナウイルスの影響で不要不急の外出を自粛するムードから、今年は各地で花見客が激減しているようだ。上野公園では例年の1/3程度の人出を見込んでいるとかで、今後の経済情勢が実に不安である。
・・・・・・・・・・・・・・
去年の4月、例年通り桜の開花に合わせて恒例の新潟遠征を実施した。
分水の定番から関屋、白山まで幅広く移動して二次新潟色のカットを効率よく稼ぐことができた。分水でのカットは後日紹介しようと思う。
白山の桜は西側の川縁に多くの桜が植えられており、花見や散歩を楽しむ人々で賑わっている。
東京よりも北側に位置し、開花時期も若干遅い新潟はちょうど入学式や新学期の開始あたりに桜が咲き、理想的な気候に思える。
東京オリンピックの中止や延期の行く末がわからない今、日本国民の癒しの象徴である桜を見て、少しでも元気づいていければと切に願う。
115系 N33編成
(2019.04)
晩秋の信越国境
近頃の花粉の飛散量にはうんざりするものがある。毎年毎年"例年の○○倍の飛散量"たる文言には耳タコ状態だ。
さて、2年ほど前にしなの鉄道ではS26編成が横須賀色に塗り替えられた。これにより既存のS16編成と併結することで5両編成の横須賀色が実現するわけである。
そんなある日運用表と睨めっこしていると、その翌日に北しなの線にて併結運用が行われるようだ。しかもGPVによると、晴れが期待できそう。
とりわけ風景映えするスポットの多い同線区に5両編成が来る運用が朝に存在することが判明。なおこれの客扱いは妙高高原からであり、そこまでは霜取り列車として回送されるのだとか。しなの鉄道の知識がほぼ皆無に等しい私に親切に教えてくれた友人に感謝感服である。
思い立ったら即行動。ジャパニーズ撮り鉄は無限に行動力があるのが売りではないか。
東京を出る頃にはレンタカー屋の閉店時間が迫っていたので優雅に新幹線を利用し長野駅へ。
そこからタイムズのカーシェアを借りて信越国境へと向かった。
長野駅から信越国境までは案外近く、ものの30分から40分ほどで撮影地についてしまった。
しばらく仮眠をとり、寝起きの一服をするために車外に出ると予想以上の寒さに思わず身震いするほど。雪国の気温を完全に過小評価していた。
通過までは40分ほどあるが、じっくりと構図を組みたかったので早速三脚をセットする。
信越大橋は山と山の谷間にかけられた橋なだけありものすごく強い勢いで冷たい風が吹き付ける。次訪れるときはダウンコート必携である。
通過のときは刻一刻と近づき、それにつれて夜空も明るくなってくる。紅葉に照らされる朝日によりあたり一面がオレンジに染まった頃、お目当てがやってきた。
115系 S26編成+S16編成
(2018.11.16)
魅惑の宗太郎峠越え
鹿児島に所属する415系の小倉入場回送があるとのことで、九州は北九州空港へ。
金曜の学校終わりにそのまま羽田に直行し、JALの最終便に乗り込む。福岡便の特典航空券枠が空いていなく泣く泣く北九州に降りることとなったが、それが逆に功を奏して友人と小倉で合流することができた。
翌日土曜日はスペワ大学で3323Mの特別講義を受講するも、見事に落単。もう二度と再履修が叶わない今、比較的九州の中でも気になっている813系で勝負してみようと心に決めた。
その後、一同は臼杵・津久見界隈へ移動し、無難に415系のカットを回収した。
下ノ江俯瞰にも訪れたのだが、どん曇りの空に霧は皆無…。風景を切り取る上で最悪の条件だったのでここでは割愛する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、日付を跨いでいよいよ今回の遠征の大本番、415系 Fk516編成が宗太郎峠へとやってくる日。
と本番の撮影地へ向かう前に一同は肥薩線5223Dを狙うべく一度鹿児島まで南下。
こちらのカットは後日別記事にて紹介しようと思う。
鹿児島から宗太郎の撮影地までの所要時間を検索したところ、かなりギリギリに着くことが判明。姶良インターから高速に飛び乗り、大分方面を目指す。距離も距離だし20分は巻けるだろう……。常にギリギリの限界行動。撮り鉄の悪い癖である。
雨降りしきる中、すぐにカメラを手に車から飛び降りる。
415系 Fk516編成
なかなか撮れないであろう大ネタを、最高の条件で収めることができた。
そしてこの後、この1枚の写真のために3時間近く現像作業に打ち込むことになる。
一生の思い出になったと言っても過言ではない。誘ってくれた某氏にはつくづく感謝である。
(2019.06.12)