しっとり…びっしょり。
8月といえば梅雨が明けて夏に突入する季節。
世間も夏休みムードに包まれ、お祭りや花火で全国各地が色鮮やかに染まる。九州も太陽の恵みを受けて気持ちの良い晴れを感じられるだろう…。そう思っていた。現地に着くまでは……。
筆者も春学期の行事を終えて8月中旬から約1週間、九州に滞在した。
宮崎空港に降り立ち、大分と鹿児島で415系を狙おうという手筈だ。
しかし天気予報を確認すると、この滞在日程中全日程が悪天候。こんなことがありえるのだろうか。晴れ男と称されることの多い筆者でも気が滅入ってしまうほどの不安である。
到着したその日から連日の雨模様で精神的に疲弊していたその時、友人から久大本線へ行こうとお誘いがあった。その日ももちろん雨模様で、日豊本線を攻めるには物足りない天気だったので大歓迎だ。狙うは1日1往復のみ設定のキハ47である。
福岡県内に移動していた我々は一度後藤寺線でスナップを回収したあと、久大本線の有名撮影地へ向かった。
それまでしとしとと僅かな量が降り続いていたのだが、到着すると大雨に。カメラをセットするも明らかに個体によろしくないであろう勢いで雨が叩きつける。
だが背後の山にいい感じの霧が立ち込めてくるサマは心情を大きく乱し、自分でも"もっと降ってほしい"と思っているのか"弱まってほしい"と思っているのかわからなくなるほどだった。
お目当てのキハが通過する数十分前にお目見えする、ゆふいんの森を回収して本番まで車で待機。九州経験値の浅い筆者にとって全ての被写体が実に新鮮だ。東京じゃまず見れない景色に東京にはいないデザインの車両。JR東日本や小田急、東武あたりの観光特急は是非水戸岡氏のデザインを取り入れてほしいものだ。
通過時刻が近づき、構図と露出、ピントをチェックしてその時を待つ。
背景の霧がいい感じになってきた頃合いで重い空笛とともに列車が通過した。
キハ47系
(2019.08.27)